不動産投資を少額でするにはクラウドファンディングを使う方法も
インターネットを介して、複数の多数の人が少額を直接出資する「クラウドファンディング」の仕組みが人気を博しています。新しい製品、商品をまずこの仕組みを利用して売ってみることなどに活用されていますが、この仕組みを使って不動産投資を少額で投資運用する例が増えています。
仕組みの原型は、古くから海外でも日本でもありました
インターネットの普及とともに注目が集まるクラウドファンディングですが、原型は、海外でも日本でも古くからありました。アメリカの「自由の女神」は、合衆国の独立100年を記念して19世紀末にフランスから贈られました。しかし据える台座を建てる資金を建設委員会が使い果たし、新聞事業者J・ピューリッツァーが、自身の経営する新聞で小口資金をよびかけ12万5000人もが1ドル以下の資金を寄せ、10万ドル近くが集まったのです。その媒体が新聞からネットに変わったものがクラウドファンディングとも言えます。
日本にも原型はありました。お寺や、仏像などの「勧進」(かんじん)がそれです。源氏平氏の騒乱で焼失した東大寺と大仏の再建を進言した僧の重源(ちょうげん)は東大寺の勧進職につき、鎌倉時代に全国を回って広く寄付を求め1195年に大仏殿の改修がなりました。文字通りクラウド(大衆)が寄金したのです。日本で言えばクラウドファンディングは「ネット勧進」ともいえます。
東日本大震災の後、日本でも不動産にも応用可能に
アメリカでは2001年に最初のクラウドファンディングのプラットフォームが生まれ、日本では2011年の東日本大震災で一気に注目を集めるようになりました。2014年には規制緩和を盛り込んだ金融商品取引法の改正が行われ、投資型のクラウドファンディングができるようになり、2017年には不動産特定共同事業法改正が施行されて、投資家1人あたり100万円を出資上限に、資金総額1億円以内であれば、小規模不動産共同事業者として不動産投資型のクラウドファンディングに参入できることになりました。一方で、この仕組みとは異なるソーシャルレンディングという貸金業と金融商品取引法にまたがった不動産投資の仕組みもできてきています。
1万円から投資可能な物件もあります
法律の使い方は違いますが、しようとしていることは多数の投資者から資金を集めて不動産の収益を図る事業という意味は同じです。1万円から投資可能な物件もあります。物件によってはJ−REITよりも高収益です。従来、住宅、マンションなどの物件が対象として多かったのですが、ホテルなども対象になってきています。
現在20社以上が参入しているといわれます。従来「1億円以上」の資本金が運営会社の条件だったものが1000万円以下に緩和されたため、参入する会社も増えています。人気案件はすぐに成立し、投資ができない例も出ているほどです。参画する投資家が増えると収益性が下がるおそれもあります。
何をチェックすれば良いかが、今後の不動産投資の勉強に
投資する限りは、投資の相手先である不動産運営会社をチェックするのは、1万円の投資であっても大事な作業です。端的にいえば「情報開示が適切におこなわれている会社は信用できる」ということです。
運営会社の不動産運営の過去実績、投資対象の不動産物件の内容をきちんと明らかにしているか、どうか、不動産小口商品のように優先劣後の仕組みを取り入れているかそうでないか、などをきちんと調べることが、今後の不動産投資の勉強にもなるのです。それだけ勉強していても、リーマンショックと同じような事態になれば大きく値動きすることがあります。