将来、不動産投資したいなら、まず少額で投資する3つの方法を
「不動産を持っている」ことが資産家のあかしとみられた時代がありました。
一方で、不動産を持っていることで全財産を失ってしまった資産家が出たバブル崩壊の時期もありました。
現代においては、不動産は「持っているのが値打ち」ではなく、運用して稼げるかどうか、という投資対象です。
終身雇用という常識がすでに崩れてしまった「人生百年時代」を生き抜く礎として、不動産投資は少額からでも始めておくと良いのです。
日本では潜在的な不動産投資対象が時価200兆円程度ある
日本にはどのくらいの不動産資産があるでしょうか?
国土交通省によると、住宅も住宅以外も全て含んだ企業や個人、国、地方公共団体所有を合わせた不動産は時価で約2500兆円(2016年推定)にのぼるとみられています。
このうち投資対象になりにくい国、地方公共団体が使っている物件や企業の本社になっている不動産を除く、賃貸オフィス、商業施設や、賃貸住宅物件など収益を生む「実物の不動産」や、あとで書く「証券化された不動産」があわせて時価約200兆円程度以上になると推定されます。
こうした実物不動産や証券化不動産にお金を出して運用するのが不動産投資です。
関心を持つ人、参加する人は増えています
不動産投資に関心を持つ人たちは増え、不動産投資の裾野は広がっています。
サラリーマンをしながら不動産を副業で経営する「リーマン大家」さんや、退職金の一部を使って不動産を運用する「リタイア大家さん」、さらに不動産経営に女性の活躍が増えている影響で、若い女性にも不動産投資に関心が広がっています。
「土地持ち」と呼ばれてきた地主、資産家も賃貸住宅の建築を増やしています。
全国では木造戸建住宅を中心に7戸に1戸、846万戸の空き家があり(2018年度の国土交通省住宅・土地統計調査)過去最高を更新しているのですが、それにもかかわらず、従来から保有している土地に建築するだけでなく、相続税対策で新たな土地を購入して建築する動きもある、と言われます。
アジアの資産家の動きも見逃せません。
経済成長の続く東南アジアでは自国の不動産価格が上がって手を出しにくくなりつつある半面、日本では、割安感がある、とみられています。
海外からの投資は、為替の動きに左右され、円安時期には「買い」が増え、円高になると売却の動きが増えます。
中国、台湾などに引き続き、東南アジアからの投資によって日本の不動産投資市場が活気を帯びている面があります。
こうした不動産の動きは、実物の不動産投資です。これ以外に見逃せないのが、不動産証券市場です。
特に不動産証券化市場は活発化し、現在30兆円以上の資金が動いているとみられます。
実物不動産投資は、賃貸料収入が収益源
実物不動産投資は、時価約200兆円の収益不動産市場の大半を占めます。
「一戸建ての家やアパート1棟を買って入居者から賃貸料を得る」従来からの手法だけでなく「マンションの1部屋を買って賃貸料を得る」マンションなどの区分投資や、駐車場経営、民泊投資など幅広くあります。
土地、建物は、値上がりすれば売却して利益を得る(キャピタルゲイン)ことが考えられますが、人口減の今の日本では、東京都内や、県庁所在地の一部など特別の要因がないと可能性が低く、部屋代、駐車場代、宿泊料などの利益(インカムゲイン)が収益源です。
きちんと賃貸料などを支払う限り管理費用を差し引いた収益が期待でき、その点は堅実といえます。
半面、借りる人がいなくなる恐れがリスクです。
自己資金が足りず、金融機関からローンを借りて投資している場合、返済に苦しむこともあります。大きく借りるほど苦しみも増えます。
何人かで共同で投資する少額の「小口」投資が可能です
一つの不動産に何人かで共同で投資すれば、人数が増えるほど少額の不動産投資になります。
「不動産小口化商品」とも呼びます。
お金を出し合って不動産を運用するイメージで、リスクは分散されます。
お互いに顔見知りではなくても成立し、運用は不動産管理会社という「不動産のプロ」が実務を担います。収益が上がるかどうかは物件の良し悪しによります。
証券化した不動産も少額から投資できます
一方の証券化不動産は、不動産を運用するための専門会社が投資家から集めたお金で複数の不動産を運用し、その利益を配当として投資家に分配する仕組みです。
現在日本では約30兆円規模で、REIT(Real Estate Investment Trust、不動産投資信託)の日本版の意味でJ−REIT(ジェイ・リート)が、証券市場に上場しているだけで20兆円程度あります。
上場している場合、運用専門会社は、大手、中堅の不動産会社が経営していることが多いです。
オフィスビル、商業ビル、住宅、ホテルリゾート施設が日本では大半を占めています。
アメリカは、これ以外にヘルスケア施設、データセンター、個人用倉庫、森林なども対象になっています。
日本でも投資対象は増えていくでしょう。
株式に上場、非上場があるように、非上場の不動産証券投資も方式がいくつもあります。
「私募リート」とも呼びます。運用する会社と投資家が契約を結ぶのは同じです。
上場にせよ非上場にせよ「株式投資で投資信託を買う」代わりに不動産投資信託を買うイメージです。
実物不動産の分散投資も、契約次第では不動産の証券化とみる場合もあります。
証券化商品をどう選ぶかは、実物不動産に投資する時の勉強になります。
クラウドファンディング方式も伸びてきました
インターネットを介して、多数の人が少額を出資するクラウドファンディングを使った不動産投資も伸びています。
東日本大震災の後、社会貢献策の一つとして注目を集めたあと、不動産投資に使う動きが広がり、法律面でも不動産投資に使えるようになりました。
現在20社以上が参入しているといわれ、人気案件は、なかなか出資できないともいわれます。
低額投資は、いくつもの方式があり先々の勉強のために
以上、「証券化不動産」「不動産小口商品」「不動産クラウドファンディング」が、低額でおこなう不動産投資の3つの方法です。
少額投資であれば、大きなリスクに直面する可能性は低いのですが、その分、収益の期待値は小さくなります。
不動産投資を本格的に始める場合に備え、不動産投資の雰囲気を知ったり、値動きの仕組みを知ったりするための「最初の扉」と考えて取り組めば良いでしょう。